事務所だより
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2008年1月 寒中お見舞い申し上げます
2008.01.01
寒中お見舞い申し上げます
2008年1月

弁護士 大 脇 美 保 : 同じ仕事、同じ価値の仕事をしたら同じ賃金・待遇を
弁護士 久 米 弘 子 : ある成年後見人の経験から
弁護士 塩 見 卓 也 : 非正規雇用という問題
弁護士 武 田 真 由 : 健全なクレジット社会の実現に向けて
弁護士 中 島   晃 : 京都議定書誕生から10年をふりかえる。
弁護士 中 村 和 雄 : みなさんと一緒に市政刷新を
弁護士 諸 富   健
弁護士 吉 田 容 子 : 教科書は役に立つ!
事務局一同


同じ仕事、同じ価値の仕事をしたら同じ賃金・待遇を
弁護士 大 脇 美 保

 みなさんは、現在、どんな立場で仕事をしていますか。パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員、準社員、派遣など、現在では、「正社員」以外に、様々な立場・名称で仕事を行っている人が職場にいます。これらの名称で仕事をしている方は、「非正規労働者」と言われています。
このうち「派遣」については、「派遣法」があります(もっとも、この派遣法を遵守していない場合も少なからずあります)。
 そのほかの、パート、アルバイトなどについては、実は、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(略称 パートタイム労働法)」という法律の中で、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用されている通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定められているだけで、その名称は問いません。もちろん労働基準法などの適用は正社員と同様です。
 ところが、非正規労働者の実態は、必ずしも「短時間」しか働いていないわけではなく、(サービス)残業も正社員と同様に行い、同じ種類の仕事をしていながら、賃金は時給で昇給もなくボーナスや退職金もないことが少なくないのではないでしょうか。むしろ、パートやアルバイトなどの共通点は、正社員と異なり、「有期契約」を繰り返しているということにあると思います。
 これまで、2000年以前くらいまでは、「パート」といえば、世帯に正社員である働き手(多くは男性、夫など)がいて、家計補助的に非課税限度額の枠内の年収(おおむね年収100万円程度)で働く、というのが一つのモデルとされてきました。しかし、最近では、男性を含め、若年層が派遣を含めた「非正規労働者」となり、低賃金で働くことを余儀なくされています。フルタイムで働いても、年収200万円前後にしかならず、場合によっては、その賃金が生活保護の基準より低くなってしまい、「ワーキング・プア」とも呼ばれたりしています。もちろん男女差別の問題も依然解消されておらず、離婚されてひとりでお子さんを育てられていく方の生活は本当に大変です。、
 どうすればこのような状況を打開できるのでしょうか。破産事件、労働事件、離婚事件で「生活できない」という話を聞くたびに考えてしまいます。
 一つの方向は、ヨーロッパなどで確立している「同一価値労働・同一賃金・均等待遇」の原則を確立することではないかと考えます。すなわち、人間はそもそも平等なのですから、同じ仕事、同じ価値の仕事すれば、同じ賃金・同じ待遇を、ということです。
 来年4月から施行される改正パートタイム労働法では、「正社員と同視すべきパート労働者」については、すべての待遇について、パート労働者であることを理由として差別取り扱いが禁止されています。罰則こそありませんが、活用していく必要がありますね。
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ある成年後見人の経験から
弁護士  久  米  弘  子

 高齢による認知症や知的障害、精神障害などのために、自分で財産管理ができない人のために、裁判所がその人の能力に応じて後見人・保佐人・補助人を選任する成年後見制度があります(以前は禁治産者の後見人と準禁治産者の保佐人という制度でしたが、法改正でかわりました)。
 私も何人かの方の成年後見人になっていますが、その一つの経験をご紹介します。
☆ ☆ ☆
 A子さんは、幼い頃に脳性小児マヒにかかって知的障害と歩行障害が残りました。A子さんが20代になった頃、両親はA子さんの将来を心配して、開園したばかりの知的障害者施設に入所させ、毎月積立をするようになりました。
 A子さんが40代になった頃、母、兄、父と次々にガンで亡くなり、家族は妹さんが1人になってしまいました。当時、妹さんは心労が重なって、心身症になり、A子さんのことは心配なものの、自分一人ではとても対応していけないという状態でした。
 私は、妹さんが通っていた病院の紹介で相談を受け、A子さんの後見人に妹さんが選任された場合、弁護士である私が後見監督人になって補佐するという申立方法のあることを説明しました。妹さんは納得して、裁判所にA子さんの後見人選任の申立て(当時は禁治産宣告の申立)をしました。
 A子さんの知的能力は4〜5歳児程度でしたから、裁判所は申立通り禁治産宣告をして、妹さんを後見人、私を後見監督人に選任してくれました。
 その後、私は妹さんに協力して、お父さん名義のままであった郷里の家や土地などの相続登記手続をしたり、A子さんの預金の管理などを行いました。
 ところが、数年後、妹さんは40代の若さで両親や兄と同じガンのために亡くなり、A子さんは天涯孤独の身になってしまったのです。私は、妹さんの死亡に伴う後任後見人の選任を裁判所に申し立て、後任の後見人に選任されました。
 後見人の仕事は財産管理と身上監護ですが、A子さんの場合は、施設に入所していましたので財産管理が主でした。
 私は、空家になっていたA子さんの郷里の家土地を処分し、妹さん名義の預金の相続手続もしてA子さんの預金の管理をするようになりました。又、A子さんが入所している施設から、制度改正に伴って契約書や同意書などがいろいろ送られてきましたので、確認しては処理しました。A子さんを施設に訪ねると、A子さんは私のことを「ときどきおみやげをもって訪ねてくるおばちゃん」と思っており、別れ際には「又、きてな、又、きてな」と繰り返して手を振るのが常でした。この施設は関連の高齢者施設ももっており、私はA子さんが年をとってもその高齢者施設に入れてもらえるものと楽観していました。
 事態が激変したのは、A子さんが入院してからです。
 A子さんは肺炎のために一時は危険な状態にまでなりました。何とか危機は乗り切ったものの嚥下障害のために、ものが食べられなくなりました。病院から後見人の私にチューブで直接胃へ流動食を入れる胃ろう形成手術の同意を求められ、説明を受けて同意しました。
 経過は順調でしたが、後見人としての心配はその後に次々生じてきました。まずはじめに、病院から胃ろう形成手術がおわって、病状が落ち着いたことを理由に退院を求められたのです。A子さんがそれまで入所していた施設では入院中も大変よくお世話をしてくださいましたが、退院するとなると、寝たきり状態になった上に胃ろう管理が必要なA子さんのめんどうを見るだけの体制はとれないということでした。急いで転院先を探さなければなりません。病院のケースワーカーさんと相談して何とか関連病院に転院できてよろこんだのもつかの間、3ヶ月間が入院の限度と言われて途方にくれました。日本の医療制度の現状と問題点を痛感する日々でした。
 私は、この時、親しい知り合いにケアマネージャーのいたことに気がつき、すがる思いで連絡をとって、何とかA子さんが安心して入院か入所できるところを探してほしいと頼みました。ベテランの彼女のおかげで、60歳前だったA子さんに特例疾患で介護保険の適用がきまり、介護療養型病院に入院できることになった時はどんなにほっとしたことか。しかし、このような介護療養型病院が数年先には廃止になると聞いたときには、又、暗い気持ちになりました。
 幼い子どものようなA子さんは、この病院では格段に若い患者さんで、よく笑う明るい性格のおかげで看護師さんたちの人気者になりました。私がお見舞いに行くと、施設の時と同様に「又きてな、又きてな」といっては手を振ってくれました。
 それから半年、A子さんは次第に弱ってきました。主治医からの電話で、病院へかけつけると、もう私の顔を見ても笑うことのできない状況になっていきました。
 そして昨年9月初め、主治医から「もう危篤状態」との説明があり、葬儀社の手配を考えておいてほしいと言われました。数日後の夜中、病院からA子さんが亡くなったとの電話が入り、真夜中に、依頼してあった葬儀社に連絡して病院へ遺体を引き取りに行きました。
 家族のいないA子さんでしたので、後見人の私1人の通夜と告別式でした。私は1人でお骨を拾い、小さな骨つぼに納めました。妹さんが郷里のお寺からお墓を移していた霊園の墓地は、A子さんの死亡によって無縁墓となり明け渡さなければなりません。今、A子さんの納骨も含めて永代墓を用意する準備中です。
 私の後見人としての職務は終了しましたが、A子さんには法定相続人がいませんので、相続財産管理人選任の申立をして、私が引き続き選任されました。(A子さんの遺産は相続する人がいない場合、国に帰属します。)
 いつも元気な私も、A子さんが亡くなる前後のできごとが重すぎて、しばらくの間は心身ともにまいりました。この経験は、今の医療や介護の実情を深く考えさせるものであり、この分野での政治の貧しさを痛感しています。
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非正規雇用という問題
弁護士 塩 見 卓 也

 最近、「格差社会」という言葉が話題になっています。フリーターや派遣労働者を始めとする不安定な非正規雇用労働者と正社員・正職員との格差、さらには、正社員を含む一般労働者と一部の成功者との格差が拡大し続けているという問題です。
 このような事態が生じた背景の一つには、財界が政府に働きかけて、働く者の働く環境を規制する法律(「労働法制」といいます。)を自分たちに都合よく変えていったという現実があります。
 本来は、働き手が必要な使用者は、その働き手を直接雇用しなければならないのです。これが従来の労働法制の大原則でした。使用者と労働者の間に仲介者が入れば、中間搾取(ピンハネ)が入り、労働者は本来の働きに見合った報酬を受けられなくなるし、直接雇用されない労働者は、使用者が要らなくなったときに簡単にクビにされ易いという点で、非常に問題が大きいからです。江戸時代の「口入れ屋」というのは、このような中間搾取を行っていたことから悪名高かったのであり、本来現代の労働法制は「口入れ屋」のような商売を排除したはずだったのです。
 この大原則に大きな例外を認めることとなったのが、1985年の派遣労働法の制定でした。このころの日本は、「総中流社会」と呼ばれるほど、経済格差の克服と、国民のある程度の豊かな暮らしの実現に成功したはずでした。
 しかし、バブルの崩壊以来、財界やアメリカの圧力により、「例外」であるはずの労働者派遣の規制は次々と緩和されていきました。それとともに、世界でも希な格差の小さい社会だったわが国でも、少しずつ格差が広がってゆきました。
 そして、その流れに沿って、労働問題における格差社会の到来を決定付けたのが、1999年の派遣禁止業務のネガティブリスト化(つまり、「禁止」と定められる業種以外は派遣労働が可能となった。)と、2003年の「小泉改革」における製造業での派遣労働の解禁でした。以来、就業者の中に占める非正規雇用の割合は急速に増え続け、現在では全体の3分の1を占めるまでになっています。さらに京都府下では、全体の2分の1と言われています。
 弁護士の仕事をしていて、労働事件の相談を受けていると、この非正規雇用の問題性を痛感することが多々あります。
 例えば、私が受任した事件に、派遣先である職場が、依頼者と派遣会社との契約に反した就業内容を命じ、それを拒否すると、派遣会社が契約通りの報酬を支払わないと言ってきたというものがあります。この事件は、私が派遣会社との交渉に入り、残りの派遣期間に得られるはずであった報酬について派遣会社に完全補償させることまではできました。しかし、その方が正規雇用であれば、本来の労働契約に反した就業について是正させるとともに、その後も期間を限ることなくこれまでの職場で今までどおり働くことを認めさせることも可能なはずでした。派遣労働者であったがために、この件では派遣契約で定められた期間の補償を認めさせるのが限界だったのです。
 一方で、正規雇用されている労働者には、安定した収入は確保されている反面、非正規の増加によりキャリアのある労働者が現場から少なくなってしまい、そのしわ寄せを受け、過労状態になるまで働かざるを得ない状況に追い込まれているという事態も生じています。最近政府が導入しようとした「ホワイトカラーイグゼンプション」(別名「残業代ゼロ法案」)は、そのような傾向に拍車をかけるものといえるでしょう。
 働くことは、人生の多くの時間を占めます。働くことに喜びを見いだせないような働き方を強いる社会は、よい社会とはいえません。私が事件を受けて活動することが、少しでも働く人達のよりよい働き方につながればと感じるところです。
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健全なクレジット社会の実現に向けて
   −法改正を求める署名活動にご協力ください
弁護士 武 田 真 由

第1 「クレジット被害」とは?
 「クレジット被害」の中身を一言で説明するのは難しく、そのため、「私はクレジットカードは使わないから関係ない」といった声も耳にします。しかし、個人の意識の問題と割り切れるのでしょうか。「クレジット被害」とは何でしょうか。
現在、割賦販売法、特定商取引法の改正作業が進められています。この改正の主眼の一つは、悪質商法をなくすことにあります。クレジット会社が悪質商法と結びついているとの考えからです。
第2 悪質商法の具体例
  たとえばこんな例があります。認知症で年金暮らしの女性に宝石販売業者がしつこく勧誘を行い、家族の知らない間に多額の宝石購入契約を結ばされ、1500万円以上のクレジット契約をさせられたというものです。
他にも、昔なじみの友人から「見るだけでいいから」と着物の展示会に誘われ、10数人の販売員に囲まれて似合う似合うとほめあげられ、2〜3時間たっても帰してもらえず、最後に、「今お金がなくても大丈夫、この場の収まりがつかへんから何か買って」と言われ、無理矢理に高額な着物を買わされ、クレジットを組まされるという例もあります。
これらの事例ではクレジットカードを利用しておらず、個別に契約書を書いてクレジット会社と分割払い契約をしていますが、これも立派なクレジット契約です。
第3 悪質商法とクレジットの結びつき
 1 こういった事例の場合、契約の勧誘・販売態様が違法であるにもかかわらず、消費者は「自分が悪かった」と考え、誰にも相談できないままに、クレジットの支払を始めてしまうことが多いのです。
   ところが、販売態様に法律上の問題があって販売契約自体を取り消すことができたとしても、現在は、クレジット会社に既に支払ったお金を消費者に返還させるための法律の根拠がなく、既払金が返還されないという問題があります。
 2 販売会社にとってはクレジット契約を利用してもらえれば、今お金が手元にない消費者に高額な物を売ることができます。しかも、販売会社は、その代金の支払いを先に一括でクレジット会社から受けとることができ、このことは消費者からの分割金の支払いが滞るかどうかとは原則として無関係なので、販売会社にはメリットが大きいのです。すなわち、クレジット契約がなければ、高額な商品を購入させることが難しく、代金を得る確実性もないことになるので、悪質商法にはクレジット契約の存在は不可欠です。
   他方で、クレジット会社は、クレジット契約により分割手数料という収入を得られます。そのため、加盟店契約をする際の業者の悪質性などの審査やその後の監督も不十分で、悪質業者との結びつきが継続しているのが現状です。
   クレジット契約が悪質商法の存在を助長しているといっても過言ではないでしょう。
 3 悪質商法は、判断能力の不十分な高齢者や若者がターゲットにされやすいのです。自分だけではなく、社会全体の問題であることをおわかりいただけたでしょうか。これらをクレジット被害と呼んでいるのです。
第4 目指すべき法改正の方向
  具体的に必要な法改正の方向性は、同封の署名用紙の裏面をご覧ください。
  現在、大きくは、クレジット会社への既払金の返還を求める根拠規定を作ること、クレジットカードの利用では考えられないほどの高額な与信(過剰与信)をした場合の取消権を作ること、個別のクレジット契約をするクレジット会社にも、クレジットカード業者と同様の、公的な開業登録制を導入すること、などです。
第5 署名活動にご協力ください!
  日弁連及び京都弁護士会では、この割賦販売法及び特定商取引法の改正を重要問題と位置づけ、弁護士会を挙げて署名活動に取り組んでおり、私も京都弁護士会の改正対策委員会の委員として活動しています。同封の署名用紙に御署名の上、ぜひ当事務所宛にご返送ください。現時点での締め切りは1月10日とされています。
今回の法改正を通して、クレジットを悪者にするのではなく、健全なクレジット社会を構築し、悪質商法をなくすのが目標です。署名活動へのご協力を、よろしくお願いいたします。
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京都議定書誕生から10年をふりかえる。
弁護士 中  島   晃

1、1997年12月に京都国際会館で開かれた、地球温暖化防止京都会議(COP3)から、早いものですでに10年が経過した。この京都会議で、難産の末に、「京都議定書」(正式名称、気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書)が採択された。
  この京都議定書では、地球温暖化の原因となる、CO2などの温室効果ガスの削減のために、各国別に削減目標を数値化し、それを共同で達成することを定めた。この京都議定書は、議長国である日本では、2002年5月に国会で承諾され、2004年にロシアが批准したことにより、ようやく2005年2月に発効した。
2、しかし、この京都議定書からアメリカとオーストラリアが離脱したことから、ロシアが批准するまでは、一時は発効するかどうかすら危ぶまれていた。しかし、北極や南極では、氷が大量にとけだし、ホッキョクグマの生息圏がせばまり、絶滅危惧種の指定提案までされている。
  こうした地球温暖化の影響は、ヒマラヤの氷河がとけだすなど世界的規模で広がる一方、私たちの暮らしのなかにも入り込んできており、京都でも紅葉が年々おそくなるなど、季節感が失われてきている。
3、温暖化ガスの最大の排出国であるアメリカは、当初は京都議定書を推進していたが、その後、一転して受け入れを拒否した。このため、アメリカは自国の経済利益のみを考えて行動しているとして、世界中から大きな非難を浴びてきた。その一方で、地球温暖化防止に取り組んできたアメリカの元副大統領ゴアがノーベル平和賞を受賞するなど、国際世論の高まりの中で、京都議定書に対して強硬な反対姿勢をとってきたアメリカも、少しずつ変化のきざしを見せはじめてきた。
  しかし、アメリカのブッシュ政権は、京都議定書からの離脱や国際法に違反するイラク戦争を強行するなど、地球環境や国際平和の問題で数々のあやまりを犯し、歴史の歯車を逆転させてきた。
4、2007年11月のオーストラリア総選挙では、ブッシュ大統領の「最後の盟友」として、京都議定書から離脱し、イラク戦争を支持してきたハワード首相が敗北し、野党の労働党が勝利をおさめた。これにより、オーストラリアも京都議定書に調印することになった。
  今年は、アメリカで大統領選挙が行われる。ブッシュ退陣後の大統領に誰が選ばれるかが注目されるが、誰が選ばれるにしろ、地球温暖化防止に向けて、アメリカがこれまでのような姿勢をとり続けることは、もはや許されないことである。
5、21世紀には、平和と環境の世紀であるといわれる。2008年という新しい年が、これまでの足踏みや後退から抜け出し、平和の実現と地球温暖化防止に向けて、力強い一歩を踏み出すことを心から願うものである。
  そのためにも、京都議定書が誕生したこの京都の地で、京都市政を市民の手に取り戻し、地球環境の保全に向けて、市政転換を実現することがいま何よりも求められている。
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みなさんと一緒に市政刷新を
弁護士 中 村 和 雄
 
 おめでとうございます。私は2月17日投票の京都市長選挙に立候補することを表明しています。私はこれまで、関西に移り住んだ水俣病被害者の救済の裁判、障害を有する方の雇用を守る裁判や差別是正の裁判、派遣労働者やパート労働者の雇い止めの裁判、過労自殺の裁判、日照権確保の裁判やフランス橋建設反対運動など、多くの事件に携わってきました。行政や大企業の横暴から市民の権利を守る活動を通じて私が得てきた経験を、今度は京都市の市民の権利を守っていく活動に生かしたいと思います。
 格差を拡大し貧困を生み出す政治が京都市政でも続いています。業者のみなさんは大企業の下請けいじめのもとで、利益がまったく出なくても生活を維持するために仕事を続けています。商売をされている方は、相次ぐ大型量販店の進出によってお客さんがまったく来なくなってしまいました。若者は、派遣やパートというきわめて不安定な雇われ方で夜遅くまで働かされています。将来の生活設計が立てられず不安でいっぱいです。障害を持つみなさんや高齢者のみなさんはあいつぐ制度改悪で負担が大きく増えて安心して暮らすことができなくなっています。京都市長は、市民のいのちと暮らしを守るために、国に対してはっきりものを言い、要求すべきことは要求しなければなりません。そして、市民のみなさんとともに、弱い者の立場に立って市民のための京都市政を実現していかなければなりません。
 私がめざす京都市政のキーワードは、フェアー、オープン、ライトの3つです。不公正な行政をあらため、公正・公平な市政に改革すること、不透明な行政をあらため、透明で市民が参加する市政に改革すること、そしてすべての市民が人間らしく生きられる市政に転換することです。 
 私はまず、市民の大切な税金を無駄遣いしてきたアンフェアーな同和行政を完全に終結します。私は市民ウオッチャー・京都の幹事として京都市の不公正な行政をずっと監視してきました。市民の税金を使って部落解放同盟の各支部が各地の有名旅館で行ってきたはずの学習会、実はその3分の2が架空や水増しであったことを明らかにしました。私たちの追究によって、京都市は97年から2001年までの5年間で8000万円が不正に交付されていたこと、京都市の事務担当職員だけでなく上司も不正に関与していたことを認めました。今回の市長選挙の相手候補である現教育長さんもその1人で、懲戒処分されました。解放同盟からは6500万円を京都市に返還させました。
 京都市は、同和地区だけに認められた同和奨学金の返済金について、毎年の返済金をすべて肩代わりして税金から支払い続けており、2007年度は3億円近くが支出されました。家賃がきわめて低額であったり、公衆浴場が一般より100円安かったり、立派なコミュニティーセンターを無料で使ったりと明らかな不公正が続いています。こんな不公正な無駄遣いをとうてい許すことはできません。
 不公正な同和行政や高速道路の建設など、市民の大切な税金を無駄遣いしている今の京都市政を刷新し、弱い者の立場に立って市政を運営する市民のための京都市政をみなさんと一緒に実現したいと思います。みなさまのご理解ご支援をお願いいたします。
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教科書は役に立つ!
弁護士 吉 田 容 子

 4月から始めた法科大学院教員(実務家教員)。通年で週4コマ平均と聞いていたので、それ程負担ではないと思っていました。が、実際はやはり負担。
 差し支えない範囲で内容をご紹介します。
 私の担当は、前期は2科目。一つは心理系の教員と共同で行う「法と心理の協働」。日曜日を4回つぶしての集中講義で、準備時間が限られていましたが、これまで実務や講演準備で用意した資料も引っ張り出し、何とか終了。ロールプレイ等も取り入れた授業で、見ている方も面白いものでした。他の一つは夏に行うリーガルクリニック。大阪と京都の弁護士何人かに協力していただき、前半は弁護士の法律相談に学生を立ち会わせ、後半は弁護士の監督下で学生に相談を体験させ、後日、教員を交えて検討し、論点について学生に課題を出すというものです。やはり見るのと聞くのでは大違いのようで、弁護士からみれば比較的シンプルな事案でも、学生にとっては新鮮で、大変勉強になったようです。また、検討会には研究者であるN先生と私が参加するのですが、意見が微妙に食い違うことも多く(これが研究者と実務家の違いなのか、N先生と私の違いなのかは不明)、学生にはそれも面白かったようです。
 後期も2科目。一つは秋〜冬のリーガルクリニックで、基本的には前期のクリニックと同じ。他の一つは「実務家事総合演習」で、2コマ×15回連続の講義。前任者のD先生がすべての資料を引き継いでくれたので随分助かっていますが、それにしても、これはきつい!準備も大変ですが、授業も大変。N先生の教科書を使っていますが、教科書(基本書)をまともに読み通すのは本当に久しぶり。新しい判例学説が豊富に引用されているし、実務で経験的に知っている事項が如何なる法的根拠を有するのかもわかり、大きな声では言えませんが「目からうろこ」です。教科書は受験のみならす実務にも十分役に立つと実感しています。ということをD先生に話したところ、D先生も同じ感想で、実務でもよく教科書を参照しているとのことでした。もし法律学の勉強をしている方がいらっしゃったら、まずはじっくり教科書を読み込むことを強くお勧めします。 それにしても、教科書を書ける研究者はエライ!
学生は司法試験合格という大きなプレッシャーを感じていますが、他方で勉強に専念できる環境は羨ましくもあります。しっかり勉強してよい法律家になってほしいと思います。
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